私が好きな美術家、篠田桃紅さん。
現在なんと105歳。現役です。
墨を使った抽象画家(墨象)で、大英博物館やボストン美術館など
国内外の由緒ある多数の美術館やホテル、施設などに
作品が収蔵されている大変著名な方です。
篠田さんの著作本「一◯三歳になってわかったこと」
2015年に刊行され、ベストセラーになったその本の中に印象深い一節がありました。
「わが立つそま」
この言葉は、自分が立っている場所を意味します。
「そま」は漢字で「杣」と書き、滑り落ちそうな山の斜面にある
ほんの少し平になった場所を指すそうです。
修行僧や登山する人たちがほんの一時安心して休める場所で
昔は木こりのことを杣人(そまびと)とも呼んでいたそう。
「長い人生の中で本当の意味で自分の立ちうる場所はそうどこにでも
あるわけではない。だからこそ、ようやくその場所を見つけられた時には
心から感謝をし、自分の使命を全うするべく努力する」
私はまだ、篠田さんの半分も生きていませんが、
及ばずながら今のこの仕事が自分の立ちうる場所だと思っています。
好きな筆文字を生業と出来ている日々と環境に心から感謝。